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2015年8月21日更新 | 一般財団法人 日本税務協会

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(1)

国税通則法等の改正

はじめに

 平成27年度税制改正では、現下の経済情勢等を 踏まえ、デフレ脱却・経済再生や地方創生、 BEPSプロジェクト等の国際的取組への対応等の 観点から、個人所得課税、法人課税、資産課税、 消費課税、納税環境整備等について所要の措置が 講じられました。

 このうち納税環境整備については、所得税・相 続税の申告の適正性を確保する観点から、財産債 務明細書を見直し財産債務調書として整備するほ か、納税者利便の向上を図る観点から、スキャナ 保存制度や電子申告手続の見直しを行う等の措置 が講じられています。

 これらの改正事項が盛り込まれた「所得税法等 の一部を改正する法律(平成27年法律第 9 号)」 は、去る平成27年 3 月31日に参議院本会議におい て可決・成立し、同日に公布されています。また、 同日に、次の関係政省令及び告示も公布されてい ます。

・ 消費税法施行令等の一部を改正する政令(平 成27年政令第145号)

・ 国税通則法施行令の一部を改正する政令(平 成27年政令第146号)

・ 内国税の適正な課税の確保を図るための国外 送金等に係る調書の提出等に関する法律施行令 の一部を改正する政令(平成27年政令第149号) ・ 国税通則法施行規則の一部を改正する省令

(平成27年財務省令第28号)

・ 税理士法施行規則の一部を改正する省令(平 成27年財務省令第31号)

・ 内国税の適正な課税の確保を図るための国外 送金等に係る調書の提出等に関する法律施行規 則の一部を改正する省令(平成27年財務省令第 32号)

・ 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿 書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則 の一部を改正する省令(平成27年財務省令第36 号)

・ 国税関係法令に係る行政手続等における情報 通信の技術の利用に関する省令の一部を改正す る省令(平成27年財務省令第40号)

・ 国税関係法令に係る行政手続等における情報 通信の技術の利用に関する省令第 5 条第 1 項た だし書に規定する国税庁長官が定める者を定め る件の一部を改正する件(平成27年国税庁告示 第 7 号)

・ 国税関係法令に係る行政手続等における情報 目    次

一 財産債務明細書の見直し(財産債務調 書制度の創設)����������� 890 二 国税関係書類に係るスキャナ保存制度

の見直し�������������� 903 三 電子申告手続の見直し������� 911 Ⅰ 電子署名等の省略�������� 911 Ⅱ イメージデータによる添付書面等の

提出制度の創設���������� 913 四 その他の納税環境整備関係の改正�� 915

1  更正の請求期間及び期間制限の整備 915 2  無申告加算税の不適用制度に係る期

限後申告書の提出期間の延長���� 918 3  複数の税務代理人がある場合の調査

の事前通知手続の整備������� 919 4  再調査手続の見直し������� 920 5  消費税の課税方式の見直し(リバー

(2)

通信の技術の利用に関する省令第 5 条第 3 項に 規定する国税庁長官が定める添付書面等を定め る件(平成27年国税庁告示第 8 号)

・ 国税関係法令に係る行政手続等における情報 通信の技術の利用に関する省令第 5 条第 3 項に 規定する国税庁長官が定める期間を定める件 (平成27年国税庁告示第 9 号)

 以下では、これらの法令改正の主な内容につい て説明することとします。

(参考) 「平成27年度税制改正の大綱」(平成27年 1 月14日閣議決定)(抄)

六 納税環境整備

1  財産債務明細書の見直し (国 税)

 財産債務明細書について、次の見直し を行い、新たに、財産債務調書として整 備する。

⑴ 提出基準の見直し

 現行の提出基準である「その年分の 所得金額が 2 千万円超であること」に 加え、「その年の12月31日において有す る財産の価額の合計額が 3 億円以上で あること、または、同日において有す る国外転出をする場合の譲渡所得等の 特例の対象資産の価額の合計額が 1 億 円以上であること」を提出基準とする。 ⑵ 記載事項の見直し

 現行の記載事項である「財産の種類、 数量及び価額」のほか、財産の所在、 有価証券の銘柄等、国外財産調書の記 載事項と同様の事項の記載を要するこ ととする。

(注) 財産の評価については、原則と して「時価」とする。ただし、「見 積価額」とすることもできること とする。また、有価証券等につい ては、取得価額の記載も要するこ ととする。

⑶ 過少申告加算税等の特例

 国外財産調書と同様、財産債務調書

の提出の有無等により、所得税又は相 続税に係る過少申告加算税等を加減算 する特例措置を講ずる。

⑷ その他

① 財産債務調書の提出に関する調査 に係る質問検査権の規定を整備する。 ② 現行の財産債務明細書と同様、国

外財産調書に記載した国外財産につ いては、財産債務調書への内容の記 載は要しないこととする。

(注) この場合、運用上、財産債務 調書の備考に「国外財産調書に 記載のとおり」と記載すること とする。

③ 財産債務調書の記載に係る事務負 担が過重なものとならないよう、運 用上、適切に配慮することとする。 ④ その他所要の措置を講ずる。 (注) 上記の改正は、平成28年 1 月 1 日

以後に提出すべき財産債務調書につ いて適用する。

(略)

3  税務関係書類に係るスキャナ保存制度 の見直し

(国 税)

 国税関係書類に係るスキャナ保存制度 について、次の見直しを行う。

⑴ 対象書類の見直し

 スキャナ保存の対象となる契約書及 び領収書に係る金額基準(現行: 3 万 円未満)を廃止する。

 この際、重要書類(契約書・領収書 等をいう。以下同じ。)については、適 正な事務処理の実施を担保する規程の 整備と、これに基づき事務処理を実施 していること(適正事務処理要件を満 たしていること)をスキャナ保存に係 る承認の要件とする。

(3)

けん制、定期的なチェック及び再 発防止策を社内規程等において整 備するとともに、これに基づいて 事務処理を実施していることをい う。

⑵ 業務処理後に保存を行う場合の要件 の見直し

 重要書類について、業務処理後にス キャナ保存を行う場合に必要とされて いる関係帳簿の電子保存の承認要件を 廃止する。

⑶ 電子署名要件の見直し

 スキャナで読み取る際に必要とされ ている入力者等の電子署名を不要とし、 タイムスタンプを付すこととするとと もに、入力者等に関する情報の保存を 要件とする。

⑷ 大きさ情報・カラー保存要件の見直 し

 重要書類以外の書類について、スキ ャナで読み取る際に必要とされている その書類の大きさに関する情報の保存 を不要とするとともに、カラーでの保 存を不要とし、グレースケール(いわ ゆる「白黒」)での保存でも要件を満た すこととする。

(注) 上記の改正は、平成27年 9 月30日 以後に行う承認申請について適用す る。

(略) 6  その他

(国 税)

⑴ 電子情報処理組織により申請等を行 う際に送信する電子署名及びその電子 署名に係る電子証明書について、個人が、 当該申請等に係る開始届出等の際に行 われた本人確認に基づき通知された識 別符号及び暗証符号を入力して申請等 を行う場合には、その電子署名及び電 子証明書の送信を要しないこととする。

(注 1 ) 本人確認は、次のいずれかの 方法により行うこととする。 ① 携帯電話等を利用した音声

通信認証による本人確認 ② 電子署名及び電子証明書の

送信による本人確認

③ 税務署への来署時における 税務署職員による本人確認 (注 2 ) 上記の改正は、平成29年 1 月

4 日以後に電子情報処理組織に より申請等を行う場合について 適用する。

⑵ 電子情報処理組織により申請等を行 う場合において書面により提出をする 必要がある一定の書類については、ス キャナによる読み取り等により作成し た電磁的記録(いわゆる「イメージデ ータ」)を当該申請等に併せて送信する ことにより、書面による提出に代える ことができることとする。この場合に おいて、当該書類のうち法令の規定に より原本を提出することが必要とされ ている書類については、税務署長は、 確定申告等の期限から 5 年間(贈与税 及び移転価格税制に係る法人税等につ いては 6 年間、法人税に係る純損失等 がある場合については 9 年間)、その内 容の確認のために当該書類の提出等を 求めることができることとする。 (注) 上記の改正は、平成28年 4 月 1

日以後に電子情報処理組織により 申請等を行う場合について適用す る。

(4)

 これにより、自宅等からの本人によ る電子情報処理組織を使用した申告と 同様、添付すべき書類の記載事項を入 力して送信することで当該書類の添付 を省略するとともに、作成された申告 書については、電磁的記録のまま国税 当局に引き継ぐことを可能とする。 (注) 上記の改正は、平成29年 1 月 4

日以後に電子情報処理組織により 申告を行う場合について適用する。 ⑷ 調査手続について次の見直しを行う。 ① 調査が終了した後において「新た

に得られた情報」に照らし非違があ ると認めるときは再調査を行うこと ができる規定について、再調査の前 提となる前回調査の範囲を「実地の 調査」に限ることとし、前回調査が 「実地の調査以外の調査」である場合 には、「新たに得られた情報」がない 場合であっても再調査を行うことが できることとする。

(注) 上記の改正は、再調査の前提 となる前回調査が平成27年 4 月

1 日以後に開始され、その前回 調査後に行う再調査について適 用する。

② 複数の税務代理人がある場合の調 査の事前通知について、納税者本人 が代表となる税務代理人を税務代理 権限証書に記載して定めたときは、 これらの税務代理人への事前通知は、 その代表となる税務代理人に対して すれば足りることとする。

(注) 上記の改正は、平成27年 7 月 1 日以後に行う事前通知につい て適用する。

⑸ 期限後申告書が提出された場合にお いて、期限内申告書を提出する意思が あったと認められるものにつき無申告 加算税を課さないこととする制度につ いて、適用対象となる期限後申告書の 提出期限を、法定申告期限から 1 月以 内(現行: 2 週間以内)に延長する。 (注) 上記の改正は、平成27年 4 月 1

日以後に法定申告期限が到来する 国税について適用する。

一 財産債務明細書の見直し(財産債務調書制度の創設)

1  制度創設の背景等

 所得金額が2,000万円を超える者については、 「財産債務明細書」の提出が求められていたとこ ろですが、その保有財産の記載内容は「株式」 「土地」など概括的であるうえ、金額等の記載が ないものも多いことから、税務当局において申告 内容の検証に活用するには不十分であることに加 え、提出率も 4 割程度にとどまっていること等の 課題があったところです。

 また、国外転出をする場合の譲渡所得等の特例 の創設に際し、適正公平な課税を確保するために は、保有する有価証券の情報把握が不可欠である ところ、従前の「財産債務明細書」では時価等が

不明なケースも多いことから、十分なものではな いと考えられる状況にあったところです。

 こうした課題に対応するため、今回の改正では、 「財産債務明細書」の提出制度を見直し、従前か

らの提出基準(現行:所得基準のみ)に資産基準 (総資産 3 億円以上又は有価証券等 1 億円以上) を追加することにより対象者を限定した上で、財 産の詳しい内容を時価で記載させるなど記載内容 を充実させるとともに、その適正な記載及び提出 を確保するため、加算税の加減算によるインセン ティブ措置を設けた「財産債務調書」として整備 することとされました。

(5)

は削除され、今般創設される「財産債務調書」 の規定については、所得税や相続税等各税に 係る調書として、以下に述べるとおり、「内国 税の適正な課税の確保を図るための国外送金 等に係る調書の提出等に関する法律」に定め ることとされています。

2  制度の内容

⑴ 財産債務調書の提出

 所得税の申告書を提出すべき者は、その申告 書に記載すべきその年分の総所得金額及び山林 所得金額の合計額が2,000万円を超え、かつ、 その年の12月31日においてその価額の合計額が 3 億円以上の財産又はその価額の合計額が 1 億 円以上の国外転出特例対象財産を有する場合に は、その財産の種類、数量及び価額並びに債務 の金額その他必要な事項を記載した調書(以下 「財産債務調書」といいます。)を、翌年の 3 月 15日までに、所轄税務署長に提出しなければな らないこととされました(国外送金等調書法 6 の 2 ①本文)。

(注) 上記の「国外転出特例対象財産」とは、所 得税法第60条の 2 第 1 項に規定する有価証券 等並びに同条第 2 項に規定する未決済信用取 引等及び同条第 3 項に規定する未決済デリバ ティブ取引に係る権利をいうこととされてい ます(国外送金等調書法 6 の 2 ①本文)が、 その詳細については、前掲の「所得税法等(国 外転出時の特例の創設)の改正」をご参照く ださい。

① 適用対象者

 財産債務調書の提出が必要となる者は、そ の年分の総所得金額及び山林所得金額の合計 額が2,000万円を超え、かつ、その年の12月 31日においてその価額の合計額が 3 億円以上 の財産又はその価額の合計額が 1 億円以上の 国外転出特例対象財産を有する者とされます (国外送金等調書法 6 の 2 ①本文)。なお、提 出期限までの間(その年の翌年の 3 月15日ま での間)に、財産債務調書を提出しないで死

亡したときは、財産債務調書の提出を要しな いこととされています(国外送金等調書法 6 の 2 ①ただし書)。

(注) 上記の資産基準について、「合計 3 億円以 上の財産」という基準は、相続税に係る財 産の平均的な課税価格(平成25年分)が 2 億円を上回ることなどを勘案して設けられ たものです。また、「合計 1 億円以上の国外 転出特例対象財産」という基準は、国外転 出をする場合の譲渡所得等の特例の対象と なる国外転出特例対象財産の基準が 1 億円 以上とされていることを踏まえたものです。

 なお、申告分離課税となる所得がある場合 における上記の「総所得金額及び山林所得金 額の合計額」は、この合計額に次の金額を加 算した金額とすることとされています(国外 送金等調書令12の 2 ⑤)。

イ 上場株式等に係る配当所得等の金額(措 法 8 の 4 ①)

ロ 土地等に係る事業所得等の金額(措法28 の 4 ①)

ハ 特別控除後の長期譲渡所得の金額(措法 31①)

ニ 特別控除後の短期譲渡所得の金額(措法 32①)

ホ 一般株式等に係る譲渡所得等の金額(措 法37の10①)

へ 上場株式等に係る譲渡所得等の金額(措 法37の11①)

ト 一般株式等の譲渡に係る国内源泉所得の 金額(措法37の12①)

チ 上場株式等の譲渡に係る国内源泉所得の 金額(措法37の12③)

リ 先物取引に係る雑所得等の金額(措法41 の14①)

ヌ 申告不要第三国団体配当等に係る利子所 得の金額又は配当所得の金額(実特法 3 の

2 ⑭)

(6)

ヲ 特定収益分配に係る配当所得の金額(実 特法 3 の 2 ⑱)

ワ 申告不要特定配当等に係る利子所得の金 額又は配当所得の金額(実特法 3 の 2 ⑳) カ 特定懸賞金等に係る一時所得の金額(実

特法 3 の 2 )

ヨ 特定給付補金等に係る雑所得等の金額 (実特法 3 の 2 )

② 財産の価額・債務の金額(評価方法)  財産の「価額」については、その年の12月 31日におけるイ「時価」又はロ時価に準ずる ものとして「見積価額」により評価すること とされています(国外送金等調書法 6 の 2 ③、 国外送金等調書令12の 2 ②、国外送金等調書 規則12⑤、15④)。

(注 1 ) 上記ロの「見積価額」については、そ の財産が、①その年分の事業所得の金額 の計算の基礎となった棚卸資産である場 合にあっては「当該棚卸資産の評価額」 が、②青色申告書を提出する者の不動産 所得、事業所得又は山林所得に係る減価 償却資産である場合にあっては「償却後 の価額」が、それぞれの所得計算上算出 されることから、提出者の事務負担等も 踏まえ、これらの価額を「見積価額」と して取り扱うこととされています(国外 送金等調書規則12⑤かっこ書、15④)。 (注 2 ) 上記イの「時価」又はロの「見積価額」

については、例えば、①「時価」として は、専門家による鑑定評価額、預金残高 そのものや市場価額(取引相場の終値) 等が、②「見積価額」としては、固定資 産税評価額などの公的機関が示す価額や 取得価額などを基に合理的に算定した価 額等が、それぞれ考えられますが、具体 的な評価方法については、現行の相続税 の評価及び国外財産調書における取扱い 並びに提出者の事務負担等を踏まえなが ら、通達等において示される予定です。

(参考) 財産債務調書の提出に係る財産の評価

や記載に関する事務負担が過重なものと ならないよう、運用上、適切に配慮する こととしており、国会における審議にお いても、「先生がおっしゃったように、提 出者にとって大変負担がふえる状況が出 てこようかと思います。このために、今 般の税制改正大綱におきましても、『財産 債務調書の記載に係る事務負担が過重な ものとならないよう、運用上、適切に配 慮する』こういうふうに記されておりま す。具体的には、調書に記載する財産の 価額については、厳密な時価だけでなく、 簡便な見積価額による記載を可能とする 旨を規定する予定でございます。この見 積価額における運用上の手当てといたし ましては、例えば、土地建物につきまし ては地方税務当局から提出される固定資 産税評価額や、非上場株式については直 近の貸借対照表上の純資産額を単純に株 式数で割ったもの、こういったものを簡 便な方法で今度記載を認めるということ としておりまして、提出者の事務負担が 過重にならないように手当てをする方向 で検討しております。」との答弁がなされ ているところです(平成27年 3 月10日衆・ 財務金融委員会における菅原財務副大臣 の答弁)。

 また、財産の価額又は債務の金額が外国通 貨で表示される場合におけるその財産の価額 又は債務の金額についての「邦貨換算」につ いては、その年の12月31日における「外国為 替の売買相場」により行うこととされていま す(国外送金等調書法 6 の 2 ③、国外送金等 調書令10⑤、12の 2 ③)。

(7)

 なお、財産債務調書を提出するときに、相 続又は包括遺贈により取得した財産の全部又 は一部が共同相続人又は包括受遺者によって まだ分割されていない場合には、民法の規定 による相続分又は包括遺贈の割合に従ってそ の国外財産を取得したものとして、その価額 を計算することとされています(国外送金等 調書令10⑥、12の 2 ④)。

③ 財産の所在

 財産債務調書には、下記④のとおり、財産 の所在について記載しなければならないこと とされており(国外送金等調書法 6 の 2 ①、 国外送金等調書規則15①)、その所在判定に ついては、国外財産調書に記載すべき国外財 産の所在判定と同様とされ(国外送金等調書 法 6 の 2 ③、国外送金等調書令12の 2 ①)、 財産を相続等により取得した場合に課される 相続税の「財産の所在」を定める相続税法第 10条の規定を基に定めることとされています (国外送金等調書令10①)。

 具体的には、この相続税法第10条第 1 項及 び第 2 項の規定に定めるところにより、次の 場所により判定することとされています。 イ 動産若しくは不動産又は不動産の上に存

する権利:その動産又は不動産の所在(相 法10①一本文)

ロ 上記イのうち船舶又は航空機:船籍又は 航空機の登録をした機関の所在(相法10① 一ただし書)

ハ 鉱業権若しくは租鉱権又は採石権:鉱区 又は採石場の所在(相法10①二)

ニ 漁業権又は入漁権:漁場に最も近い沿岸 の属する市町村又はこれに相当する行政区 画(相法10①三)

ホ 金融機関に対する預金、貯金、積金又は 寄託金:その預金、貯金、積金又は寄託金 の受入れをした営業所又は事業所の所在 (相法10①四、相令 1 の13)

ヘ 保険金:その保険の契約に係る保険会社 等の本店又は主たる事務所の所在(相法10

①五)

(注) 上記の「保険金」には、「保険の契約に 関する権利」を含むこととされています が(国外送金等調書規則12②、15②)、こ れは、相続税における取扱い(相基通10 - 2 )等を踏まえ、法令上明確化されて いるものです。

ト 退職手当金、功労金その他これに準ずる 給与(一定の年金又は一時金に関する権利 を含みます。):その給与を支払った者の住 所又は本店若しくは主たる事務所の所在 (相法10①六、相令 1 の 3 )

チ 貸付金債権:その債務者の住所又は本店 若しくは主たる事務所の所在(相法10①七、 相令1の14)

リ 社債若しくは株式、法人に対する出資又 は外国預託証券:その社債若しくは株式の 発行法人、その出資のされている法人又は 外国預託証券に係る株式の発行法人の本店 又は主たる事務所の所在(相法10①八、相 令 1 の15)

(注) 上記の「株式」には、「株式に関する権 利(株式を無償又は有利な価額で取得す ることができる権利その他これに類する 権利を含みます。)」を含むこととされて いますが(国外送金等調書規則12②、15 ②)、これは、相続税における取扱い(相 基通10- 5 )等を踏まえ、法令上明確化 されているものです。

ヌ 集団投資信託又は法人課税信託に関する 権利:これらの信託の引受けをした営業所、 事務所その他これらに準ずるものの所在 (相法10①九)

ル 特許権、実用新案権、意匠権若しくはこ れらの実施権で登録されているもの、商標 権又は回路配置利用権、育成者権若しくは これらの利用権で登録されているもの:そ の登録をした機関の所在(相法10①十) ヲ 著作権、出版権又は著作隣接権でこれら

(8)

れを発行する営業所又は事業所の所在(相 法10①十一)

ワ 上記イからヲまでの財産のほか、営業所 又は事業所を有する者のその営業上又は事 業上の権利:その営業所又は事業所の所在 (相法10①十三)

カ 国債又は地方債:この法律の施行地(相 法10②)

ヨ 外国又は外国の地方公共団体その他これ に準ずるものの発行する公債:その外国 (相法10②)

 また、上記の相続税法第10条第 1 項及び第 2 項に掲げる財産以外の財産で次に掲げるも のにあっては、同法の財産の種類に応じた所 在の定めを踏まえ明確化されており、それぞ れ次の場所により判定することとされていま す(国外送金等調書令10⑦、国外送金等調書 規則12③、15②)。

タ 預託金又は委託証拠金その他の保証金 (以下「預託金等」といいます。):その預 託金等の受入れをした営業所、事務所その 他これらに類するものの所在

レ 抵当証券又はオプションを表示する証券 若しくは証書(これらの有価証券とみなさ れる権利を含みます。):これらの有価証券 の発行者の本店又は主たる事務所の所在 ソ 組合契約、匿名組合契約その他これらに

類する契約に基づく出資:これらの契約に 基づいて事業を行う主たる事務所、事業所 その他これらに類するものの所在

ツ 信託に関する権利(上記ヌ及びタからソ までの財産を除きます。):その信託の引受 けをした営業所、事務所その他これらに類 するものの所在

ネ 未決済信用取引等及び未決済デリバティ ブ取引に係る権利:これらの取引に係る契 約の相手方である金融商品取引業者等の営 業所、事務所その他これらに類するものの 所在

ナ 上記イからネまでの財産以外の財産:そ

の財産を有する者の住所(住所を有しない 者にあっては、居所)の所在

 ただし、次に掲げる財産(以下「有価証券 等」といいます。)が、金融商品取引業者等 の営業所、事務所その他これらに類するもの に開設された口座に係る振替口座簿に記載若 しくは記録がされ、又は当該口座に保管の委 託がされているものである場合には、その有 価証券等の所在については、上記にかかわら ず、その口座が開設された金融商品取引業者 等の営業所、事務所その他これらに類するも のの所在によることとされています(国外送 金等調書令10②、12の 2 ①、国外送金等調書 規則12③ただし書・④、15③)。

(注 1 ) 上記の「金融商品取引業者等」とは、 次に掲げる者をいいます(国外送金等調 書法 2 七、国外送金等調書令 1 )。 ① 金融商品取引法第 2 条第 9 項に規定

する金融商品取引業者(同法第28条第 1 項に規定する第一種金融商品取引業 を行う者に限ります。)

② 金融商品取引法第 2 条第11項に規定 する登録金融機関

③ 投資信託及び投資法人に関する法律 第 2 条第11項に規定する投資信託委託 会社

④ 国外において上記①から③までに掲 げる者と同種類の業務を行う者 (注 2 ) 上記の「振替口座簿」とは、社債、株

式等の振替に関する法律に規定する振替 口座簿をいい、国外におけるこれに類す るものを含みます(国外送金等調書令10 ②)。

ラ 上記チの貸付金債権(相続税法第10条第 1 項第 7 号に掲げる財産)に係る有価証券 ム 上記リの社債若しくは株式、法人に対す る出資又は外国預託証券(相続税法第10条 第 1 項第 8 号に掲げる財産)

(9)

号に掲げる財産)に係る有価証券

ヰ 上記カの国債又は地方債(相続税法第10 条第 2 項に規定する財産)

ノ 上記ヨの外国等の発行する公債(相続税 法第10条第 2 項に規定する財産)

オ 上記レの抵当証券又はオプションを表示 する証券若しくは証書(国外送金等調書規 則第12条第 3 項第 2 号に規定する財産) ク 上記ソの組合契約等に基づく出資(国外

送金等調書規則第12条第 3 項第 3 号に規定 する財産)に係る有価証券

ヤ 上記ツの信託に関する権利(国外送金等 調書規則第12条第 3 項第 4 号に規定する財 産)に係る有価証券

 なお、上記による財産の所在の判定は、そ の年の12月31日における現況によることとさ れています(国外送金等調書令10③、12の 2 ①)。

④ 財産債務調書の記載要領(記載事項)  財産債務調書の記載事項は、次の事項とさ れています(国外送金等調書法 6 の 2 ①本 文・③、国外送金等調書令12の 2 ⑥、国外送 金等調書規則15①・別表第三)。

イ 上記①の適用対象者の氏名、住所又は居 所及び個人番号(個人番号を有しない場合 は、氏名及び住所又は居所)

(注) 個人番号の記載については、下記3を ご参照ください。

ロ 財産の種類、数量、価額及び所在その他 必要な事項

ハ 債務の種類、数量、金額及び所在その他 必要な事項

 また、上記ロの記載に当たっては、「土地」、 「建物」、「山林」、「現金」、「預貯金」、「有価

証券」、「匿名組合契約の出資の持分」、「未決 済信用取引等に係る権利」、「未決済デリバテ ィブ取引に係る権利」、「貸付金」、「未収入金 (受取手形を含みます。)」、「書画骨とう及び 美術工芸品」、「貴金属類」、「その他の動産」 又は「その他の財産」といった財産の各区分

に応じて、「種類別」、「用途別」(一般用及び 事業用の別。以下同じです。)及び「所在 別」の「数量」及び「価額」を記載すること とされています。さらに、これらのうち国外 転出特例対象財産である「有価証券」、「匿名 組合契約の出資の持分」、「未決済信用取引等 に係る権利」及び「未決済デリバティブ取引 に係る権利」については、「種類別」、「用途 別」及び「所在別」の「取得価額」について も記載することとされています。上記ハの記 載に当たっては、「借入金」、「未払金(支払 手形を含みます。)」又は「その他の債務」と いった債務の各区分に応じて、「種類別」、 「用途別」及び「所在別」の「数量」及び 「金額」を記載することとされています(国

外送金等調書規則別表第三)。

(注 1 ) 上記の財産・債務の各区分のうち、「書 画骨とう及び美術工芸品」及び「その他 の動産」については、適用対象者の事務 負担等への配慮から、一点(その他の動 産にあっては、一個又は一組)の価額が 10万円未満のものは除外して記載するこ ととされています(国外送金等調書規則 別表第三(十二)、(十四))。

 なお、財産債務調書の書式は、(参考図表 1)のとおりとなっています(国外送金等調 書規則15⑤⑥・別表第四)。

(注 2 ) この財産債務調書と併せて、財産・債 務の区分ごとの価額の合計額を記載する 「合計表」を提出することとされています (国外送金等調書規則別表第四備考 4 )。 この「合計表」の具体的な書式について は、今後、通達等において示される予定 です。

⑤ 提出先

 財産債務調書の提出先は、所得税の納税地 の所轄税務署長とされています(国外送金等 調書法 6 の 2 ①本文)。

⑥ 国外財産調書の取扱い

(10)

計額が5,000万円を超える国外財産を有する 居住者は、その財産の種類、数量及び価額そ の他必要な事項を記載した国外財産調書を、 翌年の 3 月15日までに所轄税務署長に提出す ることとされています(国外送金等調書法 5 、 国外送金等調書令10、国外送金等調書規則 12)。この国外財産調書を提出すべき者が、 財産債務調書についても提出しなければなら ない場合においては、その国外財産調書に記 載される国外財産に関する事項(その国外財 産の価額を除きます。)については、その財 産債務調書への記載を要しないこととされて います(国外送金等調書法 6 の 2 ②)。

(注) 上記の場合、運用上、財産債務調書の備 考に「国外財産調書に記載のとおり」と記 載することとされていますが(平成27年度 税制改正大綱)、具体的な取扱いについては、 今後、通達等において示される予定です。

⑵ 過少申告加算税等の特例

 財産債務調書制度は、自己の保有する財産及 び債務に関する情報を納税者本人から提出を求 める仕組みですが、本制度の趣旨を全うするた めには、適正な提出を確保するための措置が必 要となります。本制度においては、国外財産調 書制度と同様に、適正な調書提出に向けたイン センティブとして、以下に述べるような加算税 の優遇・加重措置が設けられています。  すなわち、①財産債務調書を提出した場合に は、記載された財産又は債務に関して所得税・ 相続税の申告漏れが生じたときであっても、加 算税を 5 %軽減する一方、②財産債務調書の提 出がない場合又は提出された財産債務調書に財 産若しくは債務の記載がない場合(記載が不十 分な場合を含みます。)に所得税の申告漏れが 生じたときは、加算税を 5 %加重することとさ れました(国外送金等調書法 6 の 3 )。

(参考 1 ) 通常の場合の過少(無)申告加算税の 割合(通法65、66)

・ 過少申告加算税:10%(「50万円」又 は「期限内申告税額」のいずれか多い 金額を超える部分については、15%) ・ 無申告加算税:15%(申告又は決定

税額が50万円を超える部分については、 20%)

(参考 2 ) 国外財産調書における不提出等に対し ては、調書の対象となる国外財産には税 務当局の調査権限が及ばず、提出義務の 有無を含めた内容を確認する手段が限ら れていること等を踏まえ、罰則が設けら れていますが(国外送金等調書法10①②)、 調書の対象の多くが国内財産となるもの と考えられる財産債務調書には、こうし た不提出等に対する罰則が設けられてい ません。

① 財産債務調書の提出がある場合の過少申告 加算税等の特例(優遇措置)

 財産債務に係る所得税又は財産に対する相 続税に関し申告漏れ(過少申告)又は無申告 (以下「財産債務に係る事実」といいます。) による修正申告書若しくは期限後申告書の提 出又は更正若しくは決定(以下「修正申告 等」といいます。)があり、過少申告加算税 又は無申告加算税の適用がある場合において、 提出期限(上記の翌年 3 月15日までの期限 をいいます。以下同じです。)内に提出され た調書に、その修正申告等の基因となる財産 又は債務についての記載があるときは、この 修正申告等につき課される過少(無)申告加 算税の額については、その「財産債務に係る 事実」に基づく本税額(加算税の計算の基礎 となる本税額)の 5 %に相当する金額を控除 した金額とすることとされています(国外送 金等調書法 6 ①、 6 の 3 ①)。

(11)

ても同様です。

 この特例の対象となる「財産債務に係る所 得税」は、財産(財産債務調書への記載を要 しないこととされる国外財産調書に記載され る国外財産を除きます。)又は債務に関して 生ずる次の「所得」に対する所得税とされて います(国外送金等調書令12の 3 ①、国外送 金等調書規則16)。これは、財産自体が課税 対象となる「相続税」と異なり、「所得税」 は所得が課税対象であることから、本特例の 対象となる「所得」については、「財産」又 は「債務」に直接基因して生ずる所得とする こととされているものです。下記②の「加重 措置」においても同様です。

イ 財産から生じる利子所得又は配当所得 ロ 財産の貸付け又は譲渡による所得 ハ 財産が株式を無償又は有利な価額で取得

することができる権利等(いわゆるストッ クオプション等)である場合におけるその 権利の行使による株式の取得に係る所得 ニ 財産が生命保険契約等に関する権利であ

る場合におけるその生命保険契約等に基づ き支払を受ける一時金又は年金に係る所得 ホ 財産が特許権、実用新案権、意匠権、商 標権、著作権その他これらに類するもの (以下「特許権等」といいます。)である場 合におけるその特許権等の使用料に係る所 得

ヘ 債務の免除その他の事由により債務が消 滅した場合におけるその消滅した債務に係 る所得

ト 上記イからヘまでの所得のほか、財産又 は債務に基因して生ずるこれらに類する所 得

(注) 上記の「財産又は債務に基因して生ず るこれらに類する所得」については、具 体的事例につき、今後、通達等において 示される予定です。

② 財産債務調書の提出がない場合等の過少申

告加算税等の特例(加重措置)

 財産債務に係る所得税に関し申告漏れ(過 少申告)又は無申告による修正申告等(死亡 した者に係るものを除きます。)があり、過 少申告加算税又は無申告加算税の適用がある 場合において、提出期限内に財産債務調書の 提出がないとき又は提出された財産債務調書 にその修正申告等の基因となる財産若しくは 債務についての記載がないとき(重要な事項 の記載が不十分であると認められるときを含 みます。)は、この修正申告等につき課され る過少(無)申告加算税の額については、そ の「財産債務に係る事実」に基づく本税額 (加算税の計算の基礎となるべき本税額)の 5 %に相当する金額を加算した金額とするこ ととされています(国外送金等調書法 6 ②、

6 の 3 ②)。

(注 1 ) 上記①の「優遇措置」と異なり、この 「加重措置」においては、「相続税」及び 「死亡した者に係る所得税」が適用対象外 となっています。これは、「被相続人」に よる財産債務調書の不提出・未記載につ いて、これを一律に別人格である「相続 人」(実際に納税申告をする者)の責任と することは適当でないと考えられること から、適用対象外とされたものです。 (注 2 ) 上記の「重要な事項の記載が不十分で

あると認められるとき」については、「財 産又は債務の種類、数量、価額、所在」 といった記載事項につき一部の記載漏れ を含む記載誤りがあることにより、申告 漏れ等の基因となる財産又は債務である かどうかの特定が困難である場合をいう ものと考えられますが、今後、通達等に おいて示される予定です。

(12)

なる「財産債務調書」については、「所得 税」又は「相続税」の別に応じ、それぞれ次 のとおりとされています(国外送金等調書法

6 ③、 6 の 3 ③)。

(注) 上記①及び②の措置の適用に当たっては、 どの時期(年)に提出すべき「財産債務調 書」により判断するかということが定まっ ています。このため、例えば、適否を判断 する対象年の財産債務調書に財産又は債務 の記載がなければ、それ以外の時期(年) に提出された財産債務調書に当該財産又は 債務の記載があったとしても、「記載なし」 と判断されることとなるため、注意が必要 です。

イ 財産債務に係る所得税に関する修正申告 等である場合:その修正申告等(例えば、 土地の貸付けによる不動産所得の申告漏れ があった場合など)に係る年分の財産債務 調書(提出時期で見た場合には、「その年 の翌年」に提出すべき財産債務調書)によ り判断されます。ただし、年の中途におい てその修正申告等の基因となる財産又は債 務を譲渡等により有しないこととなった場 合には、当該年分の財産債務調書(その年 の翌年に提出すべき財産債務調書)では判 断できないため、その年の前年から所有し ていた財産又は債務につき当該年分の前年 分の財産債務調書(その年に提出すべき財 産債務調書)により判断することとされて います。

(注) その年の翌年の 3 月15日までの間に財 産債務調書を提出しないで死亡した者に ついては、相続人はその財産債務調書の 提出は要しないこととされていますが (国外送金等調書法 6 の 2 ①ただし書)、 財産債務に係る所得税につき準確定申告 (所法124、125)の提出義務がある場合に おいて、その死亡した者に係る修正申告 等があったときは、その死亡した年の前

年に提出すべきであった財産債務調書に より上記①の特例の適用の有無を判断す ることとされています(国外送金等調書 令12①、12の 4 )。なお、上記②(注 1 ) のとおり、「死亡した者に係る所得税」に ついては「加重措置」の適用対象外とさ れていることから、このような財産債務 調書で判断する場面は、上記①の「優遇 措置」の場合に限られることとなります。

ロ 財産に対する相続税に関する修正申告等 である場合:次の「被相続人」又は「相続 人」が提出すべきいずれかの財産債務調書 により判断されます。上記②(注 1 )のと おり、「相続税」については、上記①の 「優遇措置」の場合にのみ適用対象とされ ていることから、このどちらかの財産債務 調書に財産の記載があれば、この「優遇措 置」の適用対象とされることとなります。 イ 「被相続人」が相続の開始の日の属す る年(以下「相続開始年」といいます。) に提出すべきであった財産債務調書。た だし、「被相続人」が相続開始年におい て提出期限までの間に財産債務調書を提 出しないで死亡した場合にあっては、相 続開始年の前年に提出すべきであった財 産債務調書

ロ 「相続人」が相続開始年の翌年に提出 すべき財産債務調書

④ 期限後に提出された財産債務調書の取扱い  提出期限後に財産債務調書が提出された場 合において、その財産債務に係る所得税又は 財産に対する相続税についての調査があった ことにより更正又は決定があるべきことを予 知してされたものでないときは、その財産債 務調書は「提出期限内に提出されたもの」と みなして、上記①又は②の特例を適用するこ ととされています(国外送金等調書法 6 ④、

6 の 3 ③)。

(13)

 上記①の「優遇措置」又は②の「加重措 置」の加減算(± 5 %)の対象となる「加算 税の計算の基礎となる本税額」は、修正申告 等の内容の区分に応じて、それぞれ以下のと おり算出することとされています。

イ 修正申告等の内容が「財産債務に係る事 実」のみである場合

 修正申告等が財産債務に関する申告漏れ 又は無申告のみに基づくものである場合に は、上記①の「優遇措置」又は②の「加重 措置」の加減算(± 5 %)の対象となる 「加算税の計算の基礎となる本税額」は、 その「修正申告等により納付すべき本税 額」となります(国外送金等調書法 6 ①②、

6 の 3 ①②)。

ロ 修正申告等の内容に「財産債務に係る事 実以外の事実」又は「隠蔽仮装の事実」が ある場合

 修正申告等の内容が「財産債務に係る事 実」のほか、イ所得控除の過大適用等の 「財産債務に係る事実以外の事実」又はロ 重加算税の対象となる「隠蔽仮装の事実」 がある場合には、上記①の「優遇措置」又 は②の「加重措置」の加減算(± 5 %)の 対象となる「加算税の計算の基礎となる本 税額」は、「修正申告等により納付すべき 本税額」(全体)から、次により算出され る「イ及びロの本税額」を控除した残額と なります(国外送金等調書令11②、12の 3 ②)。

イ 「財産債務に係る事実以外の事実」(隠 蔽仮装のないものに限られます。)に基 づく本税額:その「財産債務に係る事実 以外の事実」(隠蔽仮装のないものに限 られます。)のみに基づいて修正申告等 があったものと仮定計算した場合に算出 される本税額

ロ 「隠蔽仮装の事実」に基づく本税額: 国税通則法の規定(通法68)に従い算出

される「重加算税」の計算の基礎となる 本税額

(注) 「重加算税」の計算の基礎となる本税 額の算出方法については、下記⑥をご 参照ください。

ハ 修正申告等につき「優遇措置」及び「加 重措置」のいずれも適用がある場合  それぞれの措置の対象となる「加算税の 計算の基礎となる本税額」は、次の順序で 計算を行い算出することとされています (国外送金等調書令11③、12の 3 ③)。

(14)

蔽仮装の事実」がある場合には、さらに 「上記ロイ及びロにより算出される本税

額」をも控除した残額となります。 ニ 修正申告等の内容に「国外財産に係る事

実」及び「財産債務に係る事実」のいずれ もある場合

 修正申告等の内容に「国外財産に係る事 実」及び「財産債務に係る事実」のいずれ もある場合における「優遇措置」及び「加 重措置」のそれぞれの措置の対象となる 「加算税の計算の基礎となる本税額」は、 次の順序で計算を行い算出することとされ ています(国外送金等調書令12の 3 ④)。 ⅰ 最初に、上記②の「加重措置」の対象

となる「加算税の計算の基礎となる本税 額」を算出:「加重措置」が適用される 「国外財産に係る事実」(隠蔽仮装のない ものに限られます。)及び「財産債務に 係る事実」(隠蔽仮装のないものに限ら れます。)のみに基づいて修正申告等が あったものと仮定計算した場合に算出さ れる本税額となります。ただし、修正申 告等の内容に「国外財産及び財産又は債 務に係る事実以外の事実」(隠蔽仮装の ないものに限られます。以下「国外財産 及び財産債務に係るもの以外の事実」と いいます。)がある場合には、この「加 重措置が適用される国外財産に係る事実 (隠蔽仮装のないものに限られます。)」、 「加重措置が適用される財産債務に係る 事実(隠蔽仮装のないものに限られま す。)」及び「国外財産及び財産債務に係 る事実以外の事実」のみに基づいて修正 申告等があったものと仮定計算した場合 に算出される本税額から、この「国外財 産及び財産債務に係る事実以外の事実」 のみに基づいて修正申告等があったもの と仮定計算した場合に算出される本税額 を控除した残額となります。

ⅱ 次いで、上記①の「優遇措置」の対象 となる「加算税の計算の基礎となる本税 額」を算出:「修正申告等により納付す べき本税額」(全体)から、「上記ⅰで算 出された本税額」を控除した残額とされ ます。ただし、修正申告等の内容に「国 外財産及び財産債務に係る事実以外の事 実」又は「隠蔽仮装の事実」がある場合 には、さらに「国外財産及び財産債務に 係る事実以外の事実のみに基づいて修正 申告等があったものと仮定計算した場合 に算出される本税額」及び「国税通則法 の規定(通法68)に従い算出される重加 算税の計算の基礎となる本税額」をも控 除した残額となります。

⑥ 本特例の適用がある場合における重加算税 の計算の基礎となる本税額

 現行の重加算税の計算の基礎となる本税額 (隠蔽仮装された事実に基づく本税額)は、 「修正申告等により納付すべき本税額」(全 体)から、隠蔽仮装のないことが明らかな部 分のみに基づいて修正申告等があったものと 仮定計算した場合に算出される本税額を控除 した残額とされています(通法68)。  本特例の適用(「財産債務に係る事実」)が ある場合においても、この「財産債務に係る 事実」を含めたところで計算された「隠蔽仮 装された事実に基づく本税額」が重加算税の 対象となることが確認的に明らかとされてい ます(国外送金等調書令12②、12の 4 )。

⑶ 財産債務調書の提出に関する調査に係る質問 検査権

(15)

と切り離され、国外財産調書と同様、独立した 質問検査権として位置付けられました。具体的 には、国税庁、国税局又は税務署の当該職員は、 国外財産調書制度と同様、財産債務調書の提出 に関する調査について必要があるときは、その 財産債務調書を提出する義務がある者(財産債 務調書を提出する義務があると認められる者も 含まれます。)に質問し、その者の財産及び債 務に関する帳簿書類その他の物件を検査し、又 はその物件(その写しも含まれます。)の提示 若しくは提出を求めることができるとともに、 その調査において提出された物件を留め置くこ とができることとされています(国外送金等調 書法 7 ②③)。

 これは、国税通則法等に規定する支払調書そ の他の調書の提出者に対する質問検査権(通法 74の 2 ①一ロ等)と同様に、この財産債務調書 が法令に従い適正に提出されているかどうかを 調査するために、質問検査等の権限が当該職員 に付与されるものです。なお、この質問検査権 は、犯罪捜査のために認められたものと解して はならないこととされています(国外送金等調 書法 7 ⑤)。

(注) 上記の質問検査権に関し、国外財産調書制 度と同様の罰則規定の対象とされ、故意に以 下に掲げる行為をした者は、 1 年以下の懲役 又は50万円以下の罰金に処することとされて います(国外送金等調書法 9 三・四)。 ① 当該職員の質問に対する不答弁若しくは

虚偽答弁又は検査の拒否、妨害若しくは忌 避

② 当該職員の物件の提示若しくは提出の要 求に対する正当な理由のない拒否又は虚偽 記載等の帳簿書類その他の物件の提示若し くは提出

 また、国税庁、国税局又は税務署の当該職員

は、上記の質問検査等をする場合には、その身 分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があっ たときは、これを提示しなければならないこと とされています(国外送金等調書法 7 ④)。

3  適用関係

 上記2の改正は、平成28年 1 月 1 日以後に提出 すべき財産債務調書について適用されます(改正 法附則101②)。具体的には、平成27年12月31日に おいて有する財産及び債務について、平成28年 3 月15日までに提出すべき財産債務調書が初回とな ります。また、上記2 ⑵の過少申告加算税等の特 例については、その平成28年 1 月 1 日以後に提出 すべき財産債務調書に係る「財産債務に係る所得 税」又は「財産に対する相続税」に関し修正申告 等があった場合に適用されますので、所得税にあ っては平成27年分から、相続税にあっては平成27 年相続分から、それぞれ適用される場面が生ずる こととなります(改正法附則101⑤)。

 なお、財産債務調書への個人番号(行政手続に おける特定の個人を識別するための番号の利用等 に関する法律(平成25年法律第27号。以下「番号 利用法」といいます。)に規定する個人番号をい います。以下同じです。)の記載は、番号利用法 附則第 1 条第 4 号に掲げる規定の施行の日(注)

の属する年の翌年の 1 月 1 日以後に提出すべき財 産債務調書から行うこととされています。つまり、 平成29年 1 月 1 日以後に提出すべき財産債務調書 から個人番号を記載して提出することとなります (改正法附則101④)。

(16)

(参考図表 1 ) 別表第四

(用紙 日本工業規格 A4)

備 考

1  この調書は、法第 6 条の 2 第 1 項に規定する財産債務調書について使用すること。 2  この調書の各欄の記載は、別表第三によること。

3  別表第三の㈥から㈧までに掲げる財産の取得価額については、この調書の「財産の価額又は債務の金 額」の欄の上段に外書として、記載すること。

(17)

二 国税関係書類に係るスキャナ保存制度の見直し

1  改正の背景等

 スキャナ保存制度は、書面の保存等に要する負 担軽減を通じて国民の利便性の向上、国民生活の 向上及び国民経済の健全な発展に寄与するため 「e-文書通則法」が平成16年12月に制定されたこ とと併せ、「e-文書整備法」において電子帳簿保 存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳 簿書類の保存方法等の特例に関する法律(平成10 年法律第25号))を改正して創設(平成17年 4 月 施行)されたものです。

(注) 上記の「e-文書通則法」は「民間事業者等が 行う書面の保存等における情報通信の技術の 利用に関する法律(平成16年法律第149号)」、 「e-文書整備法」は「民間事業者等が行う書面 の保存等における情報通信の技術の利用に関 する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関 する法律(平成16年法律第150号)」の略称です。

 このスキャナ保存制度の創設以後、大きな見直 しがないままほぼ10年を経過する中、その承認件 数は低調に推移し、その累計件数(平成26年 6 月 末時点)は133件に留まり、民間企業等からの要 件緩和の要請を踏まえ、「規制改革実施計画(平 成26年 6 月24日閣議決定)」において指摘がなさ れており、スキャナ保存制度の見直しについて課 題とされていたところです。

(参考) 規制改革実施計画(平成26年 6 月24日閣 議決定)(抄)

Ⅱ 分野別措置事項 3  創業・IT等分野 ⑵ 個別措置事項 ② ITによる経営効率化

№27 国税関係帳簿書類の電子化保存 に関する規制の見直し

【規制改革の内容】国税関係帳簿書類 の電子保存について、国税の納税 義務の適正な履行を確保しつつ、

電子保存によりコスト削減をいか に図るかという観点から、業界団 体等に対するアンケート、ヒアリ ングを通じて把握した保存の実態 や保存に関する技術動向及び電子 データの訴訟上の証明力に関する 判例動向を踏まえ、電子保存が可 能な国税関係帳簿書類の範囲等に つき検討を行い、関係者等の意見 を踏まえた上で、結論を得る。 【実施時期】平成26年度以降早期検

討・結論

【所管省庁】財務省

 今回の改正においては、こうした状況を踏まえ、 適正公平な課税を確保しつつ、電子保存によるコ スト削減等を図る観点から、スキャナ保存制度に ついて要件緩和等の見直しを行うこととされまし た。

2  改正前の制度の概要

⑴ 対象となる国税関係書類の範囲

 国税に関する法律の規定により保存をしなけれ ばならないこととされている書類(以下「国税関 係書類」といいます。)の保存をしなければなら ない者(以下「保存義務者」といいます。)は、 国税関係書類の全部又は一部について、所轄税務 署長等の承認を受けたときは、以下で述べる要件 に従い、スキャナにより記録された電磁的記録を 保存することをもって、当該国税関係書類の保存 に代えることができることとされています(電子 帳簿保存法 4 ③)。

 スキャナ保存制度の対象となる書類の範囲につ いては、次に掲げる特に重要な文書と考えられる 書類を除く国税関係書類とされていました(旧電 子帳簿保存法規則 3 ③)。

(18)

作成されたその他の書類をいいます。) ② 契約書・領収書等(契約書、領収書その他

これらに準ずる書類及び自己の作成したこれ らの書類の写しをいい、その金額が 3 万円未 満のものを除きます。)

⑵ スキャナ保存制度の保存要件 ① スキャナによる入力要件

 スキャナ保存に当たっては、次のいずれか の方法により入力することとされています (旧電子帳簿保存法規則 3 ⑤一)。

イ 国税関係書類のスキャナでの読み取りを 国税関係書類の作成又は受領後、速やかに 行うこと(旧電子帳簿保存法規則 3 ⑤一イ。 以下「早期入力方式」といいます。) ロ 国税関係書類のスキャナでの読み取りを

その業務の処理に係る通常の期間を経過し た後、速やかに行うこと(旧電子帳簿保存 法規則 3 ⑤一ロ。以下「業務処理サイクル 方式」といいます。)

(注) 上記ロの方法は、国税関係書類の作成 又は受領からスキャナでの読み取りまで の各事務の処理に関する規程を定めてお り、かつ、その国税関係書類に係る電磁 的記録の記録事項に関連する国税関係帳 簿が、電磁的記録等による保存制度(電 子帳簿保存法 4 ①、 5 ①)の承認を受け た電子帳簿である場合に限られていまし た(旧電子帳簿保存法規則 3 ⑤一ロかっ こ書)。

② 電子計算機処理システムの要件

 上記①の入力に当たっては、次に掲げる要 件を満たす電子計算機処理システムを使用す ることとされていました(旧電子帳簿保存法 規則 3 ⑤二)。

イ 解像度・階調

⒜  解 像 度 が、 日 本 工 業 規 格 Z6016の 5 . 1 . 1 に規定する「一般文書の変換時 の解像度」である 1 ㎜当たり 8 ドット (200dpi)以上で読み取るものであるこ

と(旧電子帳簿保存法規則 3 ⑤二イ⑴) ⒝ 赤色、緑色及び青色の階調がそれぞれ 256階調(1,677万色)以上で読み取るも のであること(旧電子帳簿保存法規則 3 ⑤二イ⑵)

ロ 電子署名

 国税関係書類をスキャナで読み取る際に、 一の入力単位ごとの電磁的記録の記録事項 に、入力を行う者又はその者を直接監督す る者の電子署名を行うこと(旧電子帳簿保 存法規則 3 ⑤二ロ)

(注) 電子署名は、認定認証事業者(電子署 名及び認証業務に関する法律(平成12年 法律第102号)第 4 条第 1 項の認定を受け た者をいいます。)により、同法第 2 条第 3 項に規定する特定認証業務が行われる 同条第 1 項に規定する電子署名又は商業 登記法(昭和38年法律第125号)第12条の 2 第 1 項第 1 号に規定する措置で一定の 要件を満たすものに限られます(旧電子 帳簿保存法規則 3 ⑤二ロ⑴~⑷)。

ハ タイムスタンプ

 国税関係書類をスキャナで読み取る際に、 電子署名が行われているその国税関係書類 に係る電磁的記録の記録事項に一般財団法 人日本データ通信協会が認定する業務に係 るタイムスタンプ(次に掲げる要件を満た すものに限られます。)を付すこと(旧電 子帳簿保存法規則 3 ⑤二ハ)

⒜ その記録事項が変更されていないこと について、国税関係書類の保存期間を通 じ、その業務を行う者に対して確認する 方法その他の方法により確認することが できること(旧電子帳簿保存法規則 3 ⑤ 二ハ⑴)

(19)

 国税関係書類をスキャナで読み取った際 の解像度、階調及びその国税関係書類の大 きさに関する情報を保存すること(旧電子 帳簿保存法規則 3 ⑤二ニ)

ホ ヴァージョン管理

 国税関係書類に係る電磁的記録の記録事 項について訂正又は削除を行った場合には、 これらの事実及び内容を確認することがで きること(旧電子帳簿保存法規則 3 ⑤二ホ) ③ スキャナで読み取った国税関係書類と帳簿

との関連性の確保

 国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項 とその国税関係書類に関連する国税関係帳簿 の記録事項(その国税関係帳簿が、電磁的記 録等による保存制度(電子帳簿保存法 4 ①、 5 ①③)の承認を受けているものである場合 には、その国税関係帳簿に係る電磁的記録又 は電子計算機出力マイクロフィルムの記録事 項)との間において、相互にその関連性を確 認することができるようにしておくこととさ れています(旧電子帳簿保存法規則 3 ⑤三)。 ④ スキャナで読み取った国税関係書類に係る

電磁的記録の可視性の確保

 国税関係書類に係る電磁的記録の保存をす る場所にその電磁的記録の電子計算機処理の 用に供することができる電子計算機、プログ ラム、14インチ(映像面の最大径が35㎝)以 上のカラーディスプレイ及びカラープリンタ 並びにこれらの操作説明書を備え付け、その 電磁的記録をカラーディスプレイの画面及び 書面に、次のような状態で速やかに出力する ことができるようにしておくこととされてい ます(旧電子帳簿保存法規則 3 ⑤四)。 イ 整然とした形式であること

ロ 国税関係書類と同程度に明瞭であること ハ 拡大又は縮小して出力することが可能で

あること

ニ 国税庁長官が定めるところにより日本工 業規格Z8305に規定する 4 ポイントの大き さの文字を認識することができること

⑤ 電子計算機処理システムの概要書等の備付 け

 電子計算機処理システムの概要を記載した 書類、そのシステムの開発に際して作成した 書類、操作説明書、電子計算機処理並びに電 磁的記録の備付け及び保存に関する事務手続 を明らかにした書類を備え付けることとされ ています(旧電子帳簿保存法規則 3 ①三、⑤ 五)。

⑥ 検索機能の確保

 次に掲げる要件を満たす検索機能を確保し ておくこととされています(旧電子帳簿保存 法規則 3 ①五、⑤五)。

イ 取引年月日その他の日付、取引金額その 他の国税関係書類の種類に応じた主要な記 録項目(記録項目)を検索の条件として設 定することができること

ロ 日付又は金額に係る記録項目については、 その範囲を指定して条件を設定することが できること

ハ  2 以上の任意の記録項目を組み合わせて 条件を設定することができること

⑶ スキャナ保存制度の適時入力方式

 保存義務者は、国税関係書類のうち国税庁長 官が定める資金や物の流れに直結・連動しない 書類(以下「一般書類」といいます。)をスキ ャナで読み取る場合には、入力要件(上記 ①)及びタイムスタンプ要件(上記②ハ)以 外の要件を満たし、電磁的記録の保存に併せて、 その電磁的記録の作成及び保存に関する事務の 手続きを明らかにした書類(その事務の責任者 が定められているものに限ります。)の備付け を行うことにより、適時の入力によるスキャナ 保存をすることができるとされていました(旧 電子帳簿保存法規則 3 ⑥)。

(注) 上記の「一般書類」は、次に掲げる書類以 外の国税関係書類とされています(平成17年 国税庁告示第 4 号)。

(20)

る現金預金取引等関係書類のうち、帳簿に 同規則第58条第 1 項に規定する取引に関す る事項を個別に記載することに代えて日々 の合計金額の一括記載をした場合における 当該一括記載に係る取引に関する事項を確 認するための書類

② 所得税法施行規則第102条第 3 項第 2 号に 掲げる書類のうち、帳簿に同条第 1 項に規 定する総収入金額及び必要経費に関する事 項を記録することに代えて日々の合計金額 を一括して記録した場合の当該事項の記載 のあるもの

③ 法人税法施行規則第 8 条の 3 の10第 4 項 に規定する帳簿代用書類

④ 法人税法施行規則第59条第 4 項に規定す る帳簿代用書類

⑤ 次に掲げる書類(上記①から④までに掲 げる書類を除きます。)

イ 契約書、契約の申込書(当該契約に係 る定型的な約款があらかじめ定められて いる場合における当該契約の申込書(ロ に掲げる書類に該当するものを除きま す。)を除きます。)その他これらに準ず る書類

ロ 預貯金(所得税法第 2 条第 1 項第10号 に規定する預貯金をいいます。)の預入又 は引出しに際して作成された書類、預貯 金の口座の設定又は解約に際して作成さ れた書類、為替取引に際して作成された 書類(契約の申込書であって対価の支払 を口座振替の方法によるものとする契約 の申込みに際して作成されたものを除き ます。)その他これらに準ずる書類 ハ 領収書その他現金の収受又は払出しそ

の他の支払手段(外国為替及び外国貿易 法第 6 条第 1 項第 7 号に規定する支払手 段をいいます。)の授受に際して作成され た書類

ニ 請求書その他これに準ずる書類(支払

手段による対価の支払を求めることを内 容とするものに限ります。)

ホ 支払のために提示された手形又は小切 手

へ 納品書その他棚卸資産の引渡しに際し て作成された書類(棚卸資産の引渡しを 受けた者が作成したものを除きます。) ト 自己の作成した上記イからニまでに掲

げる書類の写し

⑷ 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存 要件

 保存義務者は、電子取引を行った場合には、 書面又はマイクロフィルムに出力して保存する 場合を除き、その電子取引の取引情報に係る電 磁的記録を、その取引情報の受領が書面により 行われたとした場合又はその取引情報の送付が 書面により行われその写しが作成されたとした 場合に、国税に関する法律の規定により、その 書面を保存すべきこととなる場所に、その書面 を保存すべきこととなる期間、次に掲げるいず れかの真実性の確保のための措置を行うほか、 可視性の確保(旧電子帳簿保存法規則 3 ①四)、 電子計算機処理システムの概要書等の備付け (旧電子帳簿保存法規則 3 ①三イ)及び検索機 能の確保(上記⑥)を行って保存しなければ ならないこととされていました(電子帳簿保存 法10、旧電子帳簿保存法規則 8 ①)。

① 取引情報の授受後遅滞なく、その電磁的記 録の記録事項に電子署名を行い、かつ、その 電子署名が行われている電磁的記録の記録事 項にタイムスタンプを付すこと(旧電子帳簿 保存法規則 8 ①一)

参照

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